ブルジュ・ハリファ：SOM（2010）。ドバイにそびえたつこの超高層ビルは、世界で現存する最も高い建造物として知られている。その高さは828.9ｍで160階建て。下に行くにつれて三方向に広がる構成部分が、中央のコア部分を支える構造になるなど、最新技術の粋がこの高さでの自立を可能にしている。
キャピタル・ゲート：RMJM（2011）。高さ160ｍ、地上35階建てという高層ビルだが、18度も傾けて建造されている。その傾きは、かのピサの斜塔を大きくしのぎ「世界一大きく傾いた建造物」としてギネス世界記録に認定されている。
キングダムセンター：エラーブ・ベケット事務所（2002）。３年にも及ぶ設計コンペを勝ち抜いたエラブ・ベケットは、ビルオーナーであるアルワリード王子の求め通り「シンプルで力強い、モノリスのような」高層ビルを設計した。国内で最も高い302ｍの高さを誇る。全面を青いガラスのカーテンウォールで覆われたシンボリックな建築に、ホテルや商店、スポーツセンターなどの施設が入る。
イスラム美術館：イオ・ミン・ペイ（2008）。ドーハ湾に突き出した岬に建てられた美術館で、石灰岩などからなるベージュ色の建物が青い海によく映える。正五角形を５層に重ねた幾何学的な構造に太陽が当たることで生まれる陰影も美しい。「幾何学の魔術師」との異名を持つ、イオ・ミン・ペイらしい作品。
ヘイダル・アリエフ文化センター：ザハ・ハディッド（2013）。ファサードは12000枚もの不規則な四角形や三角形のタイルで覆われており、その形は同じものがほとんどない。天井を支える構造体の長さは総延長90kmにも及ぶという。うねるような曲線美を活かした構造を得意とするザハ・ハディッドの個性が十分に発揮されている。
バングラデシュ国会議事堂：ルイス・カーン（1982）。パキスタン政府から1962年に第2の首都機能を作る計画で設計依頼があったが、1971年にバングラデシュがパキスタンから独立したため、国政の中心をになる議事堂へと建設目的がシフト。74年のカーンの死去から18年後に建物は完成。モスクも備えた議事堂内部には自然光が十分入るよう計算され、堀を持つ城のような構造は水資源が豊富なこの国らしい。
北京国家体育場：ヘルツォーク＆ド・ムーロン（2008）。２００８年の北京オリンピックで使用されたスタジアム。「鳥の巣」の愛称でも知られる。中国陶器に着想を得た形状はダイナミックながらも緻密に計算されている。骨格に使用されたスチールは長さ36㎞にもおよぶ。
中国中央電視台本部ビル：レム・コールハース（2009）。レム・コールハース率いるOMAの44階建ての大作。地面に横たわる部分から空へと延びる部分、そしてそこから水平に伸びる75ｍものキャンチレバーが２本合流し、ひとつの大きな輪を成している。外壁の黒線の密度は応力の大きさと対応しており、ストレスが大きくかかる部分では密になっている。
北京・銀河SOHO：ザハ・ハディッド（2012）。延べ面積33万km2を誇る巨大な商業・オフィス複合施設。流体的な4つのドーム型建築がブリッジで連結されている。緻密に計算された曲線表現と、外装材のアルミニウムプレートの輝きによる未来的な外観に目を奪われる。
広州歌劇院：ザハ・ハディッド（2011）。オペラハウスと多目的ホールの２つからなる施設で、ともに不定形で滑らかなフォルムと色味の異なる御影石を使ったファサードのコントラストが印象的。GPS測位システムなどの最新テクノロジーを駆使し、ダイナミックな建物になっている。
シェラトン湖州市温泉リゾート：マ・ヤンソン（2013）。中国初の水上に建てられたリゾートホテル。設計はオルドス博物館など有機的なフォルムの建築で知られる、マ・ヤンソン率いるMAD。ファサードはガラスとホワイト・アルミで覆われる。
大連国際会議センター：コープ・ヒンメルブラウ（2012）。劇場内部の客席も不規則なカーブを多用した幻想的な仕上がり。
マリーナ・ベイ・サンズ：モシェ・サフディ（2010）。世界最大のカジノをはじめ、ホテル、ショッピングモール、美術館などが一体となった総合リゾート。３棟の高層ビルの上に巨大な船形の構造物をのせた。船の中にあるプールからは夜景が一望できるほか、ビルの地下にはベニスの水路が再現されている。
リフレクションズ・アット・ケッペル・ベイ：ダニエル・リベスキンド（2011）。シンガポールの工業地域であるけっぺる湾岸の再開発プロジェクトのランドマーク的存在の集合住宅。弓形に弧を描いて立ち並ぶ６棟の低層住宅で構成された集合住宅の総戸数は約1200．タワー頂上部には居住者用の庭園が備えられ、各タワーをつなぐスカイブリッジからは眺望が楽しめる。五感に訴えかける建築を得意とするリベスキンドらしい。
オペラハウス：ヨーン・ウツソン（1973）。デンマークの建築家ウツソンの設計。斬新なデザインでコンペを勝ち取り、着工から完成まで約14年もの歳月を費やし、シドニー湾に光り輝く曲線を描いて見せた。2007年には建造物としての傑出した独創性と技術が讃えられ、世界遺産に登録されている。
ローズ・サイドラー邸：ハリー・サイドラー（1950）。グロピウスからバウハウス理論を受け継いだハリー・サイドラー。これは彼の母親のために設計した邸宅で、バウハウス建築のお手本のような作品である。
チバウ文化センター：レンゾ・ピアノ（1998）。木の葉のような形の建物はニューカレドニアの原住民・カナック族の伝統的村落を模して造られている。建築工法も地元のものを用いて、先住民文化を学ぶ施設の精神を体現した。建物を覆う巻貝のファサードには腐食に強く、経年変化で銀色に輝く高級木材のイロコ材とステンレス鋼を使用。カナック文化が発展し続けることを強調するため、あえて未完成なデザインに仕上げている。
クライストチャーチ大聖堂（仮設）：坂茂（2013）。紙管を構造材に用いた建築物を発表する坂。2011年2月のカンタベリー地震により甚大な被害を受けたクライストチャーチ大聖堂の仮設カテドラルも、紙管を90本以上使って建設された。防水処理が施された長さ20m直径60cmの不燃性の紙管により形造られた三角形の屋根は、倒壊した大聖堂のフォルムから。収容可能人数は700人。
ブラジリア・メトロポリタン大聖堂：オスカー・ニーマイヤー（1970）。ニーマイヤーによる大聖堂は遷都後の1970年に竣工。見事な弧を描く16本の柱の間に張られた巨大なステンドグラスが美しい。その他、名建築群が並ぶブラジリアの都市は87年に世界遺産に登録された。
ニテロイ現代美術館：オスカー・ニーマイヤー（1996）。世界三大美港のひとつと名高いグアナバラ湾を見渡す崖の上に立つ、オスカー・ニーマイヤーの代表作。リオの地形や女性の肉体の曲線美がインスピレーションの源という得意の流線形が特徴。
ロベルト・ガルザ・佐田・センター：安藤忠雄（2013）。美術・建築・デザインを専門とするモンテレイ大学の新キャンパス。安藤が「創造の門」と呼ぶこの建物は、双曲放物面で構成された巨大なヴォイドが特徴。吹き抜けをかたどる三角のピロティが門を彷彿とさせる。建物内部は随所に吹き抜けが設置され、光と風を取り込む開放的なつくり。
フォートワース現代美術館：安藤忠雄（2002）。水平の屋根を支えるY字型のコンクリートの柱が印象的。コンクリート製の建物をガラスで包んだ二重構造になっており、内部の寺院的で荘厳な雰囲気に対して、外部からは柔らかい印象を受ける。
ソーク生物学研究所：ルイス・カーン（1965）。20世紀最後の巨匠として名高いルイス・カーンの代表作の一つ。ポリオワクチンの開発者と知られるジョナス・ソーク博士がカーンの作品を見て感激し、自ら設計を依頼した。
カリフォルニア・科学アカデミー新館：レンゾ・ピアノ（2008）。展示室のほか、水族館、プラネタリウム、亜熱帯研究室などが一つの建物に集められた、世界最大規模の自然科学博物館。地球環境保護がテーマであり、細かくしたデニム生地を断熱材に使用するなどの工夫が随所にみられる。丘のような屋上には、さまざまな植物が生い茂る。
ウォルト・ディズニー・コンサートホール：ゲーリー・パートナーズ（2003）。ウォルト・ディズニー家の寄付によりたてられた巨大なコンサートホール。表面にステンレスを用いたのは、晴天の多いロサンゼルスの光を計算。優れた音響効果で音楽家にも愛されている。
エクスペリエンス・ミュージック・プロジェクト：フランク・O・ゲーリー（2000）。ロック・ミュージックの歴史に関する専門博物館。約3000枚ものタイルパネルで覆われた複雑な曲線で成り立つ外形は、まるで風にたなびく布のよう。
クリスタル大聖堂：フィリップ・ジョンソン（1980）。天井も壁もすべてガラス張りで、使用されたガラス板は１万枚以上。最高部で高さ40m、奥行き60m、幅120mという広大な空間に3000人収容できる。太陽光を跳ね返す鏡を効果的に使用することで、自然光を取り入れつつ、内部は快適に過ごすことができる。
デ・ヤング美術館：ヘルツォーク＆ド・ムーロン（2005）。アメリカの美術作品を中心に収集するサンフランシスコで最も歴史ある美術館。建物を覆った銅版は網目状になっており、そこから木漏れ日のような日差しが注ぎ込む。潮風により発生した緑色の錆も美しい。９階建の塔の最上階には展望台があり、360度サンフランシスコの景色が楽しめる。
ファーンズワース邸：ミース・ファン・デル・ローエ（1951）。20世紀モダニズム建築の最重要人物であるミース・ファン・デル・ローエの代表作。シンプルな箱形構造の四面をガラス張りにした大胆かつ簡潔な建築は、モダニズム建築のひとつの境地ともいえる。家具デザイナーでもあったミースのこだわりはドアノブにも及ぶ。ここで試みたガラスと鉄骨による建築的実験は、あとに手掛ける高層建築へと応用されていく。
落水荘：フランク・ロイド・ライト（1939）。20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトの生涯最高傑作との呼び声も高い建築。この地の自然を愛したカウフマン一家の依頼によって建てられた別荘。ライトの得意技であるプレーリースタイル（天然建材を用いた横長の低い建物）を活かし、真下の岩石と相似をなすように張り出したバルコニーや広いガラス窓により、自然との境界を感じさせない。
ガラスの家：フィリップ・ジョンソン（1949）。米建築家ジョンソンの自邸。ガラスと鉄でできた無装飾の建物は、モダニズム建築の象徴的存在になった。室内の家具はミース・ファン・デル・ローエによる。彼はこの家に住み続け、98年の生涯をここで閉じた。
ジョン・F・ケネディ国際空港 ターミナル５：エーロ・サーリネン（1962）。チューリップチェアで有名なサーリネンの代表作。4枚のコンクリート・シェルで構成された屋根が特徴で、飛び立とうとする鳥のような形をしている。曲線が美しい内装は、20世紀を代表する工業デザイナー、レイモンド・ローウィーが手がけた。取り壊しも検討されたが、2005年国家歴史登録財に指定。2009年にはリニューアル完了。
グッゲンハイム美術館：フランク・ロイド・ライト（1959）。巻貝のような逆円錐形の構造が印象的。内部は広大な吹き抜けになっており、天井のガラスドームから自然光が降り注ぐ。建物の壁に沿ってらせん状のスロープがあり、来館者は上から下へとスロープを下りながら作品を鑑賞していくという、動的な芸術体験ができる。
シーグラムビル：ミース・ファン・デル・ローエ（1958）。ミースの傑作。全面が均質的なファサードに、柱の均等な並びなど、かつて世界共通の様式を目指した「インターナショナル・スタイル」のひとつの到達点ともされる。
100 11TH アベニュー：ジャン・ヌーヴェル（2010）。23階建ての集合住宅。約1700もの形の異なる窓枠が緩やかにカーブしたファサードを覆い、すべての部屋からマンハッタンの眺望を楽しめる。ヌーヴェルもこのビルを「vision machine（展望マシーン）」と表現している。
IACビル：フランク・Ｏ・ゲーリー（2007）。ネット系サービス企業を多数運営するIAC (Inter Active Corp)の本社ビル。表面を覆うガラスのカーテンウォールは透明部の周辺の濃度を調節し、プライバシーを守る工夫が施されている。
ヘイデン・プラネタリウム：ポルシェック・パートナーシップ（2000）。ガラスの立方体は一辺およそ40m。中には巨大なプラネタリウム。ビッグ・バンの様子や、地球からの離陸のバーチャル体験などを、スーパーコンピューターを駆使した大迫力の映像と音で楽しむことができる。
シアトル中央図書館：レム・コールハース（2004）。地上11階、地下に駐車場も備える公共図書館。不規則な建物の形状は、書架、閲覧室、ホールなどの図書館に必要な機能を縦に積み上げ、ずらしたため。この計算されたズレにより、吹き抜けや広々とした閲覧スペースを作り出している。
アビタ67：モシェ・サフディ（1967）。モントリオール万博の一環で建設され、当時は政府高官の宿舎として使用された。現在は私有の共同所有集合住居になっている。キューブを積み上げた巨大なパズルのような外観は、庭付きの空間を安価に提供できるように設計されている。
モントリオール・バイオスフィア：リチャード・バックミンスター・フラー（1967）。モントリオール万博でのアメリカ館。現在はエコシステムに関する展示などを行う環境学習施設。直径76mの球体の3/4が地上に見えている設計で、緻密に組み上げられた棒鋼が織りなす幾何学模様が秀逸。
聖ワシリイ大聖堂：ポストニク・ヤコブレフ（1561）。民族的な刺繍を思わせる鮮やかな色彩は1670年代に加えられた。対外的にはロシア正教教会が呈するべき外観の典型を示し、１９世紀のロシア・リヴァイヴァルで建てられた数多くの教会の模範となった。
アヤソフィア：トラレイスのアンテミオス、ミレトスのイシドロス（537）。かつてはキリスト教の聖堂であったがモスクとして転用され、現在は博物館。東洋と西洋の結び目にあるビザンチン建築は、今なおキリスト教徒とイスラム教徒の聖地となっている。
ベジャスアルテス宮殿（メキシコ国立芸術院）：アダモ・ボアリ（1934）。グラデーションのかかったオレンジ色の屋根が美しいオペラハウス。内観はアール・デコ様式、外観はアール・ヌーヴォー様式。フリーダ・カーロとともにメキシコを代表する壁画家のディエゴ・リベラによる『十字路の人物』が内部に描かれている。
クライスラービル：ウィリアム・ヴァン・アレン（1930）。アールデコ様式の最高峰。高さ319mは当時世界一。翌年マンハッタンに竣工したエンパイア・ステートビルに１年後に抜かれている。アールデコの上部は半円形の様式されたクライスラー社のデザインで装飾されている。
広州塔：オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ社（2010）。高さ600mのこのタワーは電波塔や展望台のみならず、展示場や会議室、ホテルや商業施設を備えた複合建築。外観はコンクリートを流し込んだ鉄柱をメッシュ状に組み上げている。
王立ポルトガル文学館：ハファエル・ダ・シルバ・エ・カストロ（1888）。またの名を「幻想図書館」。丁寧に収められた蔵書は、かつてポルトガルで開花したマヌエル様式の緻密な装飾が施された空間をより濃厚なものにしている。
ヴァスコンセロス図書館：アルベルト・カラチ（2006)。宙から吊られた書棚がクールで、全体的に空間の中に浮遊感が漂う。合理的でシステマティックな設計は、将来的な書架の増設にも対応しており、高い拡張性を備えている。
チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス：フレデリック・ウィリアム・スティーヴンス（1888）。インド初の蒸気機関車が発車した記念すべき場所であり、アジア初の鉄道開業でもあった。インドの中にありながら英国の植民地支配の名残を色濃く残す。ゴシック建築を思わせるフライング・バットレス（飛梁）があるかと思えば伝統的なインドの装飾的彫刻にあふれていて、絶妙に調和する名建築。
ブルックリンブリッジ：ジョン・A・ローブリング（1883）。イーストリヴァーに架かるマンハッタンの名物橋。鉄鋼製のワイヤーケーブルを使用した世界初の吊り橋。支柱間がそれぞれ486mあり、全長は2㎞に及ぶ。ゴシック様式の尖頭アーチを擁した首塔から４本の軽やかなケーブルによって吊られており、ブルックリンとマンハッタンを結ぶ大都市の生命線となる交通網である。
ハージュ橋：流水路が設けられているために上流側の水位が調整できる機能的な橋でありつつ、鮮やかな色タイルのアルコープで装飾された世界有数の美しい橋でもある。（イラン、イスファハン）
フランシス・Ａ・グレゴリー図書館：デヴィッド・アジャイ（2012）。ワシントンD.C.の26の公立図書館を改築するプロジェクトのひとつ。2019までに全館終了予定。
バリッシュ美術館：ヘルツォーク＆ド・ムーロン（2012）。ロングアイランドにゆかりのあるアーティストの作品を約2600点所有、展示。アーティストのアトリエで作品を鑑賞するような環境づくりがコンセプト。納屋風ミュージアム。
バークレイズ・センター：SHoPアーキテクツ（2012）。光沢のあるスチールとガラスを多用するマンハッタンと対照的なものを作りたかった、として茶色の鉄筋を使いブルックリンの製造業への歴史へのリスペクトや街のタフさを表現。近隣のエリアと相互に作用する設えにするため住宅独特の色「ブラウンストーン（褐色砂岩）」に合わせた。
「トワイライト・エピファニー（薄明の悟り）」スカイスペース：ジェームズ・タレル（2012）。アメリカ現代美術の巨匠、ジェームズ・タレルの光と音をテーマにした最新作。25か国で作られている「スカイスペース」シリーズの73作目。空を縁取るような建造物の天井の中央に開けられた四角い穴から空を仰ぎ、微妙に調整される照明によって移り変わる光の色を体験できる。日の出と日没時に40分間のライトショーが体験できる
